クーリングオフとは、一定期間内であれば、消費者と事業者との契約について、その理由にかかわらず、無条件で申込の撤回、解除をすることができる制度です。

クーリングオフは消費者を保護することを目的とされた制度です。

 

クーリングオフ制度の目的

不正な勧誘から消費者を保護するために、消費者に再度考え直す期間を与えるというのがこの制度の目的です。

消費者は、とっさの判断を求められるような状況で、強引に勧誘され正しい判断することができないまま、契約を申し込んでしまうことが多々あります。

 

契約はすでに成立してしまっているとなれば、消費者は後になって撤回、解除をすることができません。

クーリングオフ制度は、このような事態から消費者を守るために、一定期間に限り、無条件で契約解除や申込の撤回をすることが出来る制度です。

 

また、事業者は消費者を勧誘するさいに、利益を出す事が目的ですので、消費者に正しい判断をする間もなく、不正な勧誘方法を取ることも少なくありません。 このような勧誘方法が認められてしまえば、消費者の被害が広がり、国民の生活がうまく回らなくなります。

 

そのため、クーリングオフ制度は、事業者に法律に定められた内容(〇日以内であればクーリングオフができる)旨を記載した書面を消費者に渡すことを義務付けています。

この書面を渡していない限り、クーリングオフの期間は進行せず、消費者はいつまでたってもクーリングオフができることになっています。

 

クーリングオフの方法

後から、考え直し、やはり契約を撤回や解除したいと思った場合、相手に対して意思表示をする必要があります。

このときの意思表示は法律上、書面で行うことが求められています。

この撤回や解除の意思表示ができる期限には、各取引の種類により定められた期間内に発送しなければなりません。

発送した日付が期限内であればよく、到着した日付ではありません。

この書面は、どういった形式の手紙であれよいのですが、内容証明で行うことが事実上求められてしまいます。

なぜなら普通の手紙であった場合、確実に届いているかという証明ができず、相手が受け取っていないと言えば、こちらが契約解除の意思表示をしたことを立証することが困難となります。

内容証明郵便であれば、クーリングオフを行う旨の意思表示を公的に証明でき、また、内容証明郵便を発送した日が確定日付として記録されます。 これにより、公的にも証明されるので、後々、クーリングオフが法律上適正に行われているかどうかが争いになったときの重要証拠となります。

相手側の業者も、内容証明にてクーリングオフの通知を受け取った際は、対処せざるを得ないでしょう。

 

※内容証明郵便を送る際の注意点

内容証明は証拠保全としてとても有効なのですが、相手側に届かないと意味がありません。

内容証明が、相手の住所が間違えている、相手方が居留守をして受領しないという場合があります。

ただ単に引越しして住所がわからない場合は、住民票や戸籍附票(個人の場合)、商業登記謄本(法人の場合)を調査すれば転居先はわかります。しかし、転居先に移転届を出していない場合はこの手も使えません。

また、内容証明を相手側が意図的に受領しない(居留守)を使う場合があります。

賃貸借契約で家賃を滞納している場合などにあるのですが、わざとに受領しない

このようなケースは、内容証明郵便に「同一書面を普通郵便でも送る」旨の記載をし、実際に内容証明郵便と同じないようの普通郵便も相手に発送すれば普通郵便は受領拒否ができず、確かに送ったという証拠は内容証明の方に残るので、あとあとトラブルになった際に立証ができます。

 

 

取引種目別クーリングオフ規制

・訪問販売    法定書面受領日から8日間

・電話勧誘販売  法定書面受領日から8日間

・マルチ商法   法定書面受領日から20日間

・特定継続的役務提携 法定書類受領日から8日間

・業務提携誘因販売取引 法定書面受領日から20日間

・割賦販売    法定書面受領日から8日間

・預託取引契約(現物まがい商法) 法定書面受領日から14日間

・宅地建物取引  法定書面受領から8日間

・ゴルフ会員権契約 法定書面受領日から8日間

・投資顧問契約  法定書面受領日から10日間

・保険契約    法定書面受領日から8日間

 

内容証明の文例

 

・訪問販売に関するクーリングオフ

訪問販売で、つい契約をしてしまった。断りにくかったなどのケースでは、法律で定められた書面を受け取った日から、その日を含めて8日以内であれば契約解除できます。

 

文例はいたってシンプルです。

通知書

私は、○○株式会社との間で、令和〇年〇月〇日付○○売買契約により、○○1個を〇〇円にて購入する契約を締結しました。

しかし、令和〇年〇月〇日本書面をもって上記契約を解除いたしますので、その旨を通知致します。

 

まだ契約が成立していない場合は

私は、○○株式会社との間で、令和〇年〇月〇日付○○売買契約により、○○1個を〇〇円にて購入する旨の申込をしました。

しかし、令和〇年〇月〇日本書面をもって上記契約を撤回いたしますので、その旨を通知致します。

 

すでに支払いが済んでいる場合

文末に返還請求の一文を加えます。

 

つきましては、既に支払い済の○○円を〇月〇日までに下記口座へご返却ください。

振込口座 ○○

 

 

法定の書面(クーリングオフができる旨)の書面を受け取っていない場合は、クーリングオフが進行していませんので、いつまでも解除できます。

 

〇月〇日本書面をもって上記契約を解除致します。なお、上記契約から現在に至るまで、法定書面の交付を受けておりません。

 

・電話勧誘を受けた場合のクーリングオフ

電話によって勧誘され契約を結んでしまった、またはそのつもりでかけていないのに、商品を勧められ購入したようなケースでは、契約書などの法律で定められた書面を受け取った日から、その日を含めて8日以内であれば、書面により契約を解除できます。

 

私は、令和〇月〇日、貴社より電話にて勧誘をうけ〇〇を○○円で購入する申込をしました。しかし、本日本書面をもって上記申込を撤回しますので、通知いたします。

 

既に支払ってしまった場合は、返金の一文を付け加えます。

 

・マルチ商法に関してのクーリングオフ

マルチ商法は連鎖販売取引として、契約書などの法律で定められた書面を受け取った日などから、その日を含めて20日以内であれば書面によって契約を解除できます。

 

私は、貴社に対して、○○を○○個○○円にて購入する旨の申込をしましたが、本日本書面をもって上記申込を撤回いたしますので、その旨を通知します。

 

強引な勧誘をうけてやむを得なく契約してしまった場合

強引に勧誘をうけ、断りを入れたにもかかわらず、相手がそれを許さずやむをえなく契約してしまった場合は、消費者契約法によって契約を取り消すことができます。

 

私は貴社との間で○○を○○個○○円で購入する契約を締結しましたが、これは勧誘を受けた際、私が断りの意思表示をしたにもかかわらず、販売員が執拗に引き留め、立ち去ることができなかったため、やむなく契約を締結してしまったものです。そのため、本日本書面をもって上記契約を取り消しますので、ここに通知致します。

 

その他、英会話学校やエステなどの長期にわたる契約なども、上記通知どうようの書き方で契約した内容を解除または撤回する旨を書けばよいです。

宅地建物取引、ゴルフ会員権、投資顧問契約、保険契約などクーリングオフが可能となっている商品については、すべてこの記載方法で契約解除、または撤回の意志表示をすればよいでしょう。

 

クーリングオフについて内容証明については下記までお問合せください。